僕が目覚めるのは
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わざと開けたカーテンの隙間から朝日が部屋を照らす。僕は、朝顔が花びらを広げるように目を開ける。
世界の始まりのような光に顔を焼かれることが気持ちいい。
そして、僕をこのまま死なせてくれと願う。このまま光に飲み込まれたい。
会社に行かなくていいし、大事な人やものを忘れることができるから。
僕が日常を続ける意味なんて、ない。
みんながそうしているから僕も仕方なく日常を生きているだけ。
僕から日常を奪ってくれ。ここで野垂れ死ぬ理由をくれ。
「あんた! はよ起きや!」
嫁が部屋の扉を勢いよく開ける。
壁にぶつかって跳ね返る扉の音が僕の日常を突きつけてくる。さらに布団を取られた僕はもうどうすることもできない。
起き上がって、嫁の視線を背中に感じながら洗面所で顔を洗う。
朝ごはんは、鮭が乗ったご飯と味噌汁。
娘は味噌汁に入っているなめこを残して、テレビを見ている。高校に入ってからあまり口をきいてくれない。
「何ボケっとしてるんよ。食べたんなら仕事行き。片付けられへんやろ」
僕はこんな風に毎朝怒られる。
それでも僕が幸せを感じるのは、今でも嫁と娘が大事だからだろうか。
仕事で失敗し、陰口を言われようと、僕は会社に行く道しかない。
人生の屈辱すら彼女らには敵わないらしい。
僕が毎朝目覚めるのは——。
作者:雨月 葵子